目的

今回のプロジェクトでは2つのNGO;IFJ(アイフォーム・ジャパン)とKRC(カンザスルーラルセンター)が率先し異文化間の対話による現代の食システムと農村地域の抱える問題への革新的な応答を発信することを目的としています。
有機食品を通じた地域づくりを目指して ~埼玉×カンザス日米交流事業~は、埼玉県小川町と米国カンザス州ローレンスという2つの持続可能なコミュニティーモデルの交流事業です。小川町とローレンスは有機農業を軸として持続可能な地域づくりを行っています。
今、自給率の低下・農村の衰退は経済の観点からも、社会学の観点からも非常に危機的な状態です。
当プロジェクトでは、2つの地域における共通の問題を見つけ出し、解決策を探ります。
そしてその解決策は単に埼玉県とカンザス州だけで通用するものではなく、世界の様々な地域の問題解決に参考になることでしょう。
小規模農家や有機農業に対する理解や関心を深め、生産者と消費者との密接で有機的関係を築くことを広めていきます。
持続可能な世界がどうあるべきか、発信していきたいと思います。
<地域のたべものネットワークを通してコミュニティーを育む>
スーパーにずらりと並んだ大量の食品を見て、私たちは「豊さ」を感じるかもしれません。けれどもその「豊さ」は、目に見える商品の数が多いということで、一つ一つの食べものがどの様にして作られてきたかの物語の豊かさではないかもしれません。
今日の私たちは加工度が高く、保存に適した見栄えの良いものを沢山食べています。それと同時に、たべものがどこから来たのかさえ分からなくなっています。
アメリカ・カンザス州や日本・埼玉県は農業の伝統が豊かな地域です。しかし、世界中の他の地域と同じく、多くの生産物は地元で消費されないで遠くの消費地へ運ばれています。最近では、バイオ燃料用など一つの作物を大規模に生産するようになりました。
農業自体が大きなビジネスになり、国土の小さな日本でさえも大規模農場を作る傾向が見られます。農業を担う人は年々減少し、農村コミュニティーは過 疎化に悩まされています。農業は機械化や農薬や化学肥料を使い効率化されてきました。食料は自然の恵みというよりはまるで工業製品を作るかのようです。そ れが世界全体の傾向です。
多くの国で食料に代わりバイオディーゼル用の作物を作ることで、小麦やとうもろこしなど主要食物の価格が高騰し、社会不安が広がっています。一方、 多くの国で消費者は、昔から伝えられてきた新鮮な食物の調理方法を忘れ、家庭料理の健康へのメリットさえも忘れてしまいました。その結果、肥満・心臓病・ 糖尿病などの生活習慣病が増えています。
今、私たちは、自分達の健康とコミュニティーが直面する問題:農業や地域、ビジネス、そのあり方を考え直す必要があると思います。
今回のプロジェクトの目的は、世界規模の緊急課題に取り組むことです。
世界中で食べものを売りさばくために、各国の政策や民間企業の戦略によって貿易の広域市場自由化が進められました。これらの食品市場戦略は農薬や化 学肥料を使い、食料生産体系を大々的に工業化・近代化することで成り立っています。残念なことに、現在のこの戦略は、私たちが地球で生きていくための能力 を低下させ、土壌浸食や大量の地球温暖化ガス放出など、世界全体の環境悪化の大きな原因となっています。その結果、食料供給量や食べものの品質を低下さ せ、社会の安全を脅かしています。近代農業の進め方は、小規模・家族経営農業に大規模なアグロビジネスとの競いを求めました。小規模農家は経済的に追い込 まれ、職を求める若者達を都会へ流出させました。それは農村コミュニティーの過疎化や格差の拡大につながっています。同時に、安いけれども質の低い食べも のが国内外へ流通し、農薬や食品添加物の大量使用による健康被害問題も急増しています。
私たちは、日本と米国のコミュニティーを基盤としたNPO活動の交流事業を行います。地元で有機農産物の生産と消費への関心を広げることで、それぞ れのコミュニティーの物理的、経済的な健康と成長をどのように育んでいるかを分析・共有し、互いに革新的解決策を見出したいと考えています。
両国の多くの生産者団体・消費者団体は、現代農業が持続可能ではない危険性を訴えています。農村コミュニティーを活性化させて、同時に農村を都市消 費者ネットワークとネットワークさせるための、持続可能な方法を強調した政策を打ち出すべく、政府機関と協力しています。私たちは、埼玉県とカンザス州の 地域とNPOがそれぞれの経験と知識を共有することで、お互いの活動をより強化し、このような重要な運動に関る者同士の新たな繋がりが生まれることを期待 しています。
さらに、私たちのチームメンバーや協力団体のなかには、すでに他国で類似のプロジェクトを手掛けている団体とつながりを持っている者もおり、今回の埼玉とカンザスの連携を、それらの国で地域食料ネットワークを創る際のモデルにしたいと考えています。
